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まちづくり

千葉の記録的豪雨から考える。もし目黒区に同じ雨量が降ったら?

皆様、こんにちは。木村あやこです。

2026年8月13日から14日にかけて、千葉県を記録的な豪雨が襲いました。道路が川のようになり、住宅や店舗、車が浸水する映像を見て、こう思いました。

「もし、同じ雨が目黒区に降ったらどうなるのだろう?」

気になって、調べてみました。


◆ 千葉市では、1時間に115mm

気象庁の観測によると、千葉市では8月13日、次のような雨量を記録しました。

項目

雨量

最大1時間雨量

115mm

8月13日の日降水量

351mm

最大24時間降水量

367mm

特に「1時間115mm」は千葉観測所の観測史上1位。それまでの記録71mmを大幅に更新する猛烈な雨でした。

「1時間115mm」と言われてもイメージしにくいですが、これは1平方メートルの場所に1時間で115リットルの水が降る量です。

道路や屋根、駐車場など、都市には水が地面へ浸透しにくい場所が多いため、大量の雨水が短時間に下水道や側溝へ集中します。


◆ 浸水したのは「危険とされた場所」だけではなかった

今回、特に気になったのがこの点です。

ウェザーニューズが約1万件のアンケート回答と現地リポートを分析したところ、被害を示す投稿のうち55.7%が「低位地帯または河川の浸水想定区域の外」から寄せられていました。

千葉駅周辺や柏市などでは、河川そのものの氾濫というより、短時間の雨を排水しきれず道路やアンダーパスに水がたまる「内水氾濫」型の被害が目立ったと分析されています。

ここは注意が必要で、この「55.7%」はすべての種類のハザードマップと照合して「完全な白地だった」という意味ではありません。あくまで河川の浸水想定区域や低位地帯との比較です。

それでも、「ハザードマップで色がついていない=絶対に浸水しない」ではないということは、今回の豪雨が改めて示した大切なポイントだと思います。


◆ では、目黒区に同じ雨が降ったら?

目黒区の水害ハザードマップは、河川の氾濫だけでなく、下水道などから水があふれる内水氾濫も含めて浸水リスクを示しています。2026年3月には、東京都が新たに雨水出水浸水想定区域を指定したことを反映して情報が更新されました。

目黒川などを含む「城南地区河川流域」の浸水予想区域図では、1時間最大153mm・総雨量690mmという「想定最大規模降雨」を前提にシミュレーションされています。

つまり、今回千葉市で記録された115mm/hという雨は、目黒区のハザードマップが想定している範囲の中に入ります。

でも、ここで知っておきたいことがあります。


◆ 実は目黒区では、すでに千葉を上回る雨を経験している

2025年9月11日、目黒区を猛烈な雨が襲いました。東京都によると、目黒区の工大橋観測所では時間最大雨量134mm/hを記録しています。

今回の千葉市の115mm/hを、さらに上回る雨です。

3つの数字を並べてみる

雨量

これは何の数字?

千葉市(2026年8月)

115mm/h

実際に観測された雨

目黒区(2025年9月)

134mm/h

実際に観測された雨

目黒区ハザードマップ

153mm/h

想定最大規模の計算条件

ここで大切なのは、右の153mm/hは「目黒区の下水道が153mm/hまで処理できる」という意味ではないということです。これは、最大規模の豪雨が降った場合に「どこが、どの程度浸水する可能性があるか」を計算するための降雨条件にすぎません。

一方、115mm/hと134mm/hは、実際に観測された雨です。

こうして並べてみると、はっきりします。100mm/hを超える豪雨は、目黒区にとって「想定上の災害」ではなく、2025年にすでに現実に起きた災害なのです。

この豪雨では区内各地で道路や緑道の冠水、住宅への浸水などが発生し、目黒区には約400件の被害調査依頼が寄せられました。目黒区自身も、この被害を受けて「今後も同規模やそれ以上の大雨を想定」して対策を強化する必要があるとしています。


◆ 大切なのは「川から離れているから大丈夫」と思わないこと

水害というと、どうしても「目黒川の近くが危ない」というイメージを持ちがちです。もちろん河川沿いの対策は非常に重要です。

一方、今回の千葉豪雨のような短時間の猛烈な雨では、川から離れた場所でも、周囲より低い道路、坂の下、アンダーパス、地下・半地下、地下駐車場などに水が集中することがあります。これは、都市部だからこそ起こる水害です。

東京都の浸水予想区域図も、河川と代表的な下水道を一体的に計算し、10メートル四方のメッシュでシミュレーションしています。それでも、実際の雨の降り方や側溝の状態、地形、建物の状況まで、未来の災害を完全に予測することはできません。

だからこそ、ハザードマップは「ここなら安全」という地図ではなく、「少なくともここはリスクがある」と知るための地図として使うことが大切なのだと思います。


◆ 「燃えないまち」に、「浸からないまち」を

目黒区の防災といえば、これまでは木造住宅密集地域の不燃化。

つまり「燃えないまち」「燃え広がらないまち」づくりが大きな柱でした。林試の森周辺・荏原地区の不燃領域率を高める取り組みは、今も重要な課題です。

でも、これからの目黒区には、そこに「浸からないまち」という視点を加える必要があると思います。

火災に強いまちをつくることと、水害に強いまちをつくること。この2つは、どちらも都市の安全を支える両輪です。昨年の134mm/h、そして今回の千葉の115mm/h。数字が示すのは、「浸からないまち」がもはや後回しにできないテーマになっているという現実です。

目黒区では、2025年の豪雨被害を受け、新しい対策が始まっています。

  • 排水ポンプの配備
  • 止水板設置への助成拡充
  • 緊急用土のう保管箱の増設
  • 被災後の相談窓口のワンストップ化

こうした対策はとても重要です。

一方で、これからの豪雨対策では、被災後の支援だけでなく、「どこに水が集まるのか」「どこで排水能力を超えやすいのか」「過去に実際に浸水した場所はどこなのか」を、区民がもっと簡単に確認できるようにすることも必要だと思います。

具体的には——

  • 現在のハザードマップに、過去の実際の浸水地点・道路冠水地点を重ねて、地域ごとのリスクを日頃から共有すること
  • 透水性舗装や地下貯留施設の計画的な整備を進めること
  • 地下・半地下住宅、保育園、高齢者施設、学校など、避難に時間がかかる施設については、場所に応じた対策を進めること

そして何より、豪雨が始まってからではなく、「100mm/hを超える雨が目黒にも降る」ことを前提に街をつくること。

「燃えないまち」に「浸からないまち」を足していく——それが、これからの目黒の防災だと思います。


◆ 最後に

昨年、目黒区で134mm/h。今年、千葉市で115mm/h。数字を見れば、これは決して非現実的な想定ではありません。

豪雨を止めることはできません。でも、被害を減らすためにできることはあります。今回の千葉豪雨を「千葉で起きた災害」として終わらせず、目黒区の防災を改めて考えるきっかけにしていきたいと思います。

まずは、ご自宅や職場、お子さんの保育園・学校の周辺が、ハザードマップでどうなっているかを確認してみてください。
「知っておく」ことが、備えの第一歩です。

ご意見やご感想があれば、お問い合わせやSNSからいただけると嬉しいです!


※災害の被害状況は2026年8月17日時点でも更新が続いています。本記事は、気象庁、千葉県、東京都、目黒区等が公表している資料およびウェザーニューズの現地調査をもとに整理しています。
※目黒区の水害ハザードマップは目黒区HPで確認できます。